マクロスシリーズ

【前半ネタバレあり】【マクロス】おしゃべりする戦闘機? YF-19の秘密【ヴァリアブルファイターエピソードアーカイブ】

みなさん、こんにちは。

今回は、マクロスシリーズに登場する可変戦闘機が大好きな方のバイブル、SB Creativeさんが展開する「ヴァリアブルファイター・マスターファイル」シリーズの中からの異色作「ヴァリアブルファイター・エピソードアーカイブ」をご紹介します。

通常のマスターファイルでは、VF-1バルキリーを始め様々な可変戦闘機が実際にあるという設定で発行される航宙専門誌となっています。

その機体が開発された経緯や時代背景、機体構造の細かな説明や実際に搭乗しているパイロットへのインタビューなど、かなり凝った内容でファン必携のシリーズです。

今回ご紹介する「エピソードアーカイブ」は、全編小説となっています。

内容は、可変戦闘機の中でも1、2位を争う人気機体。

YF-19にまつわるエピソードです。

物語は2部構成になっていて、前編はYF-19の開発エピソード、後編はYF-19(正確には正式採用されたVF-19)の退役間近に起こったエピソードとなっています。

YF-19/ARIEL 2039

「VF-19の噂。パイロットの間でのみ語り継がれるものだ。VF-19には守護神がついていて、苦難に立ち向かう若い未熟なパイロットを導くという。(中略)ベテランのパイロットたちも言う。VF-19には本当にARIEL(大気の精霊)が棲んでいる。たしかにいつも見守られている感覚がある、と。」

物語の冒頭からワクワクします。

開発者ヤン・ノイマンは悩んでいます。自身の手がけたYF-19の開発は順調だったが、すでに一機のテスト機を丸ごと失い、予備機五機の内一機は修理中、一機は改装作業中、事故に繋がりかねない事態はその数倍にもなっていました。

さらにテストパイロットも3人が病院送りとなり、YF-19の基本コンセプトである「高性能AI制御によるパイロット支援」がうまく機能していないことが明らかになったものの、それにどう対処すべきか行き詰まっています。

藁をもすがる思いで相談したのが同僚のルーシー・マクミランでした。

自己学習型のAIがパイロットの心を理解できていない現状に対して、ルーシーは男と女が分かり合えるかに喩えます。長く過ごしていれば自然と分かり合えると考えていたヤンに対し、ルーシーは一緒に話し合いながら経験を積むしかないと諭します。

ルーシーとの会話にヒントを得たヤンは、その夜ある人物に連絡をとります。

一つ下、16歳でモスクワ工科大学で人工知能研究学室の助教授をしているリュドミラ・ブラックウッドでした。

ヤンも一目置く彼女。設定も可愛らしくヤンを手玉に取る会話は凄く楽しいです。

実は、ゴーストX-9の基本AIプログラムも手伝っています。スゴイ

ヤンは、リュドミラを説得して協力を頼もうと画策しますが、リュドミラはすでにヤンが困って頼ってくると予想してプログラムを完成させていました。

それが仮想人格プログラムを載せてパイロットと会話しながらセントラルコンピュータのなすべき仕事を学習させるというものでした。

そのプログラムの名前はARIEL(エアリアル)です。

ミラード・ジョンソン大佐をなんとか説得し、エアリアルを実装した先行試作三号機「YF-19-3」は、ベテランパイロットたちには不評でした。

ベテランパイロットは自分の操縦に自信を持っています。それがAIから細々と修正を呼び掛けられたら頭にくるのは無理もありません。

パイロットが次々と離れていく中、新米のテストパイロットが志願します。

それがロバート・ルーデル・タナカ少尉でした。

ロバートとエアリアルは非常に相性が良く、テストメニューを順調にこなしていきます。

ロバートは、その時々の状況でパイロットが何を考え、何をエアリアルに望んでいるかを事細かに説明しました。

果てにはエアリアルに音楽を聞かせ、音楽が人間の感情にどう訴えるのかも説明しました。

そんな中、エアリアルとロバートは事故に会います。

この事故の際、エアリアルはあらゆる全ての手段を使いパイロットや整備員に非常招集をかけ、ロバートを守るために自身をボロボロにしながら墜落します。

この事故により、ロバートは左目と左腕さらに右足も失いますが、自分のことよりもエアリアルを気遣います。そしてYF-21との模擬空戦を望みます。

この模擬戦闘に合わせて塗装されたのが、ルーシー作の天使の絵でした。

パイロットという枷を外したエアリアルとYF-21ガルド・ゴア・ボーマンの一騎打ちは読み応えがあります。

そして開発の目的を完了したエアリアルは、ミラード大佐との約束どおりプログラムを削除するはずでしたが・・・

この事故を受けて新たに配属され試作三号機に搭乗するのがイサム・ダイソンです。

物語は、ここまでですが、ヤンの淡い恋心も垣間見えて面白いです。

鳥の帰還 2064

後編は25年後になります。

ロバートとリュドミラは結婚し、子どもはすでに成人し統合軍のパイロットになっています。

そんな中二人の元に娘の一人エアリアル・ルーデル・タナカが撃墜され行方不明となったことを知ります。

そして退役間近だったVF-19エアリアルも行方不明だということも。

かつての仲間が集まります。そこにはヤンの姿も。

ここからの流れは、本当に読んでいて楽しいです。

夜間ハンガーで会話するVF-19シリーズたちやキレたエアリアル(機体の方)もすごいです!

ここからは読んでのお楽しみということにします。

表紙のYF-19、ハセガワさん発売してくれないかなぁ。

今回の「ヴァリアブルファイター・エピソードアーカイブ」は「Vol.1」となっています。

今後Vol.2、3と続いてくれることを楽しみにしています。

それでは。