みなさん、こんにちは。
今回は1987年に発売された「超時空要塞マクロス FLASH BACK 2012」をご紹介します。

↑写真は、2008年に発売されたDVD版
この作品は、1984年に公開された「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」では、構想はありながら制作されなかった幻のエンディングを再現するために企画されたものです。(最近リリースされた「愛おぼ」では、完全バージョンが多いです。)
「フラッシュバック」とは、映画の技法の一つであるクロスカッティングで、短い間隔で異なった場面を交互に切り返す手法です。
監督の河森正治さんは、この作品を制作するにあたって、当時アニメでは珍しかったビデオ編集の利点を利用して、アニメと実写映像を合成するという「ビデオ」らしさにこだわって編集したそうです。
作品としては、リン・ミンメイのミュージックビデオとして作成されています。
注目は、VF-4とメガロードが登場するところと、ミンメイの過去と未来が描かれるところです。
内容について
天使の絵の具
まずは、「愛・おぼえていますか」の幻のエンディングが披露されます。

ビデオ編集としてさまざまな演出が盛り込まれています。
SUNSET BEACH
主に劇場版のカットを中心に構成されています。
時々入るネオンサインの踊る男女やカウボーイが印象的です。
O-G LOVE
カット割が細かく、音一つにワンカットというのが多く用いられています。
リズムに合わせて早瀬未沙に何度も平手打ちを喰らう輝くんが痛そうです。
小白竜(シャオ・パイ・ロン)
TV版第17話「ファンタズム」からのカットが多く、ファミコン風の画像もカットインされます。

シルバームーン・レッドムーン
未沙を主役とした作品となっています。
前半はTV版後半の未沙を、後半は劇場版からの映像で、未沙の切ない心情を描いています。
愛は流れる PARTⅡ
ロイ・フォッカーのエピソードが中心となっています。劇場版でのフォッカーの戦死シーンが曲に合わせられていて引き込まれます。
実写の兵士の行軍が映像に重ね合わされていて、やるせない気持ちに胸が締め付けられます。
シンデレラ
打って代わって、レコードプレイヤーが静かに動き出し、ミンメイがアカペラで歌います。
画面もイラストに実写の月が合成されているのが印象的です。

愛・おぼえていますか
輝、未沙、ミンメイを中心にTV版、劇場版から印象的なカットが交錯します。
天使の絵の具
再び「天使の絵の具」が登場します。
しかし、その前に新作映像が流れます。

30代半ばになったミンメイ。綺麗です。
昔コンサートを開いたけど今は誰もいなく半ば廃墟となった会場に1人佇むミンメイ。


そこに幻のように現れた輝と未沙から歌うように促されて曲が始まります。
ミンメイが過去に家を飛び出した様子が描かれます。


そして、未来へ。メガロード1番艦が出航します。

艦長はもちろん未沙さん。そして護衛隊長は輝くんです。

メガロードとVF-4ライトニングⅢは動画としてはこれが初出です。


カッコいい!


メガロードに乗り込み、手を振るミンメイ。少し切なそうな印象です。

そして外には、メガロードを見送るミンメイの姿も。

寂しそうだが、最後には少し吹っ切れたかのような笑顔が見られました。
この2人のミンメイについては、監督の河森さんがコメントを残しています。
「どちらの姿も実像だし、虚像でもある。どちらが主になるかは、見る人の気分で変わるでしょうね。ただ、シリーズのあとのミンメイがラクな道をたどるとは思えない。」
ランナー
ラストはエンドクレジットと共に、TV版最終回と同じく飯島真理さんと藤原誠さんによる「ランナー」です。

旅立つミンメイが笑顔なのが救われる思いです。
ムックもあります

秋田書店さんから発売された「超時空要塞マクロス Flash Back 2012 グラフィティ」です。
設定資料集や美樹本晴彦さんの原画集が掲載されており、巻末には河森、美樹本両氏のインタビューもあります。
ミンメイの「天使の絵の具」でのコスチュームは、劇場版で予定されていたものとは異なるらしく、「劇場公開の時からは年月も過ぎているし、コスチュームも変わって当然」という河森監督の考えからだそうです。
たかがミュージックビデオと侮るなかれと言わんばかりの内容で、新作カットもふんだんに使われています。

2012年にマクロス30周年記念として発売された「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか Hybrid Pack」でも特典として同梱されています。
ある意味、これが「超時空要塞マクロス」の完結編と言えるのではないでしょうか。
ぜひ見てみてください。
それでは。