みなさん、こんにちは。
今回は、1997年にセガサターン用ゲームソフトとして発売された「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」についてご紹介します。

開発はスカラベさんでバンダイビジュアルさんから発売されました。
劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で起こるストーリーを追っていく内容で、河森正治さんが監修し、オリジナルの声優さんが参加したムービーパートが新作で追加されています。
基本的に横スクロールのシューティングゲームですが、奥行きが与えられ敵が奥に行ったり手前にきたりと2.5次元のシステムを採用しています。
こだわりが強く感じられるゲームで、ゲームの進行の合間に「愛おぼ」の映像が挟まれプレイヤーは臨場感を持って臨むことができます。
物語冒頭で一条輝が艦内に侵入した敵ヌージャデル・ガーを追っていく場面では、マクロスのトランスフォーメーションに合わせ、アニメと同じように横スクロールの画面が縦になり、そのまま縦スクロールになります。
この時、ちゃんと車やテーブル、さらにマグロが下に落下していく演出が加えられ製作者の意気込みが感じられます。
ボドルザーに挑む最終決戦では、ミリアとマックスによる援護という痺れる演出も加えられています。
このゲームは、1999年にはプレイステーション用も発売されました。
「愛おぼ」の前日譚が見られます
このゲーム、内容も素晴らしいのですがマクロスファンとしてなんと言っても注目するポイントは、「愛おぼ」の前日譚が見られることです。
これが凄くカッコいいのです!

カタパルトのスチームが出す蒸気に烟るデッキに現れるVF-1バルキリー。

洋上に浮かぶプロメテウスが映し出され、非常事態が発令されスカル、エンゼル、アポロ各小隊に発進命令が下されます。


この時のデッキクルーの動きやバルキリーのカタパルトに向かう様子などが非常に丁寧に描かれます。

立ち上がるジェット・ブラスト・ディフレクター。奥にはマックス機も見えます。

ヘルメットのバイザーに映り込む機器の起動モーション。マクロスでは定番の演出です。

そして、最もワクワクする射出場面。痺れます。そして流れる「ドッグ・ファイター」マクロスといえばの名曲です。カッコいい!

無事に発艦するスカル小隊ですが、直後ゼントラーディからの衛星軌道上からの攻撃でプロメテウスが撃沈します。映画に繋がる重要な映像です。
呆然とする輝達ですが、ロイ・フォッカーの指示によりマクロスに向かいます。
飛行機好きには堪らない発艦シーン。
もう、このムービーを見るためだけでも価値ありです。

公式ガイドブックも出ていますよ。
河森正治さん、宮武一貴さん、美樹本晴彦さんらのスタッフインタビューが掲載されています。
河森さんは、今回のオープニングの作成前にアメリカ海軍の空母インディペンデンスに3泊3日で参加し、そこで見た航空機の発艦シーンやクルーの動きを実際にみてきたそうです。
氷点下のブリッジ横のデッキから撮影をされて、手がかじかむ寒さなのに、機体がアフターバーナーを吹かして離陸する時には熱風で温まるといった貴重な体験をされています。
オープニングムービーの蒸気のモヤの中から現れるバルキリーは、「まるっきりそのまま」だそうです。
また、宮武さんのインタビューで面白かったのが、15年前にマクロスを河森さんと作ってから、それをベースに成長してきたけれど、マクロス以降に一緒に仕事をしたことがなく、お互いのマクロスの原点が微妙にズレていたことに気づき、その微調整=ゼロ補正が必要だったというものです。
「自分自身の中にあるものがゼロ点だと思っていた。しかし、それぞれをぶつけてみると、これがズレるんです。」
原点から進化したものをデザインすることは比較的容易でも、いざ原点に戻るとなると世界観を同一にさせるのは難しい。長年同じ作品のデザイナーをやっているが所以でしょうね。
こだわりが沢山詰まったこのゲーム。一度ご覧になってください。
それでは。