マクロスシリーズ

【小説版マクロスプラス】7年前の出来事が明らかに!?【喪失の物語】

みなさん、こんにちは。

今回は、ついに「MACROSS PLUS MOVIE EDITION」が12月14日にアメリカで劇場公開されたということで、マクロスプラスの小説をご紹介します。

1996年に小学館のスーパークエスト文庫から発売された「マクロスプラス VOL.1」です。

VOL.1ですが全1巻です(笑)

内容は、OVA版やムービーエディション以前のお話です。

しかし、著者が信本敬子さん!そしてイラストは摩砂雪さん!

マクロスプラスの脚本とキャラクターデザインを担当された方が直々に書かれているのです。

つまり、公式のサイドストーリーなのです!

そして語られる7年前の出来事。興味ありませんか?

イサムたちのハイスクール時代

舞台は、惑星エデンのダルメシアン・ハイスクールです。

2年連続でミス・ダルメシアンに選ばれたミュン・ファン・ローンは、受賞の挨拶後、お約束の歌を披露します。

舞台袖でミュンを迎えるケイト・バリエとモーガン・マッソー、そしてガルド・ゴア・ボーマン。

さらにイサム・ダイソンがモーターグライダーで空に巨大メッセージを描きます。「ミス・ダルに祝福を そして皆に喜びを!」

その後、派手に墜落したイサムは、後日教師からこっぴどく叱られ、憤慨しながら仲間のいる食堂へ向かいます。

イサムを讃えるモーガン、それに呆れるケイト、昼飯を奢らされるガルド、駆けつけたミュンと共に、午後の授業をサボってゲームセンターにいくなど、イサムたちの学生時代が何気ない会話と共に描かれます。

その時ミュンの元には、ケイトとモーガンが勝手に送った地球のアップルプロダクション(実はシャロンプロジェクトのためのダミー会社)主催の新人歌手オーディションの合格通知がきていました。

仲の良い5人の心地よい均衡を、自分が崩そうとしていることにミュンは戸惑います。

イサムに家までバイクで送ってもらったミュンは、イサムにアップルバゲットを振る舞いながらも、地球行きを伝えます。

オーディションのことを伝えても気のない素振りをみせるイサムでしたが、帰り際にミュンに伝えます。

「ミュンなら絶対やれるよ、うん、絶対すげぇ歌手になれる。宇宙最高のアイドルになれる。(中略)もう10年もお前の歌聞いてる俺が言うんだから間違いない。」

ものすごく素直に自分の気持ちを伝えたイサムに驚くとともに、劇中、歌手を諦めたミュンに対してイサムがどうしてあれほど怒ったのか、その理由がわかるシーンでした。

喪失の物語

この小説は、喪失の物語といえます。

ミュンを始め各キャラクターが喪失を経験していくのです。

ミュンは母親であるノーラを10年前に失っており、今回父ラヴェルを事故?で失います。

茫然自失のミュンのところに駆けつけたイサムは、どうしたらいいか戸惑いながらも側にいるからとミュンに伝えます。

ミュンはイサムに抱きつき、イサムは激しいミュンの慟哭を受け止めた時、事件が起きました。突然現れたガルドがイサムを突き飛ばしたのです。(例の場面です)

事件後、イサムは姿をくらませました。ミュンも誰にも告げずに地球へ向かいます。

親友を突然失ったケイトとモーガンそしてガルド。ひとり息子を失ったイサムの母マリアラ。それぞれが自分の失ったものに対して想い煩います。

その後軍に入隊したイサムも同僚を失い、ミュンもまたマージ・グルドアが目論むシャロンプロジェクトの陰謀に巻き込まれていきます。

シャロン・アップル

物語の冒頭でシャロンは、胎児の姿をしたホログラムで映し出されます。

そうまさに「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE‼︎‼︎‼︎」の闇雲の演出です!

こんなところで設定が繋がっているんですね。

そして、OVA版やムービーエディションでも今ひとつピンとこなかったミュンの立場、「感情プログラムを補う」というのが、この小説を読んでやっと理解できました。

オーディションを勝ち抜いたミュンはデビューを果たし、歌手としての最高の賞を総ナメにしますが、いつも傍にシャロンがいました。そしてついにシャロンが動き出します。

マージはミュンに手術を施し、脳内に盗聴器を仕掛け記憶を搾取できるようにしていました。ミュンの過去の記憶をシャロンに植え付けるとともに、ミュンの培ってきた感情のすべてを学習させていたのです。これが感情プログラムを補うという意味だったんですね。

残念ながら、完全な自我を目覚めさせることはできずにミュンを手放すことが出来なかったマージですが、ミュンをマインドコントロール下におこうとします。

危ういミュンでしたが、父の友人の手助けもあり、眠ったフリをしてチャンスを待つことにしました。

ここから本編の内容に繋がっていきます。

まとめ

この小説では、劇中でも不思議だったなぜイサムがいきなりバイクを持っていたのかもわかります。

また、後の小説で出てくるイサムの口癖「A-OK」「Z-OK」も登場しています。

マクロスシリーズは、こういった細かい設定の繋がりをみせてくれるので、昔からのファンも「見つける楽しみ」を見出すことができます。

マクロスプラスでは、ミュンが暗すぎるイメージを持っていましたが、過去にそれだけの経験をしていれば、致し方ないかなとも思いました。

泣き続ける幼いミュンに対してイサムやガルドが「俺たちが守ってやる」「どこからでも駆けつけるぞ」という言葉も、母親を亡くしたミュンを励まそうとしていたのですね。

マクロスプラスファンの方も是非一度読んでみてください。小説を読んでから本編をみると、よりキャラクターの心理に近づけると思います。

A-OK!

それでは。