マクロスシリーズ

【マクロスF】マクロスFから生まれた外伝小説【フロンティア・メモリーズ】

みなさん、こんにちは。

今回は、小太刀右京さんによる小説版「マクロスF」から外伝版となる作品「フロンティア・メモリーズ」をご紹介します。

角川書店さんから発売されていた「マクロスエース」「ザ・スニーカー」という雑誌などに掲載されていた短編小説に書き下ろしを加えた計7編の小説集です。

「フロンティア・メモリーズ」は2010年に発売されました。

フロンティア・メモリーズ

ワイヤード・ウォーリア

「ザ・スニーカー」2009年10月号初出。

いきなりブレラ・スターンが主役です(笑)

YF-27試作3号機のテストをしているブレラは、グレイス・オコナー大佐から突然実戦テストを言い渡されます。

開拓地の殆どが農業プラントである惑星ネバーは、ギャラクシー社の多額の投資が長年行われており、実質ギャラクシー社に「首根っこを押さえられた星」でした。

そこで行われる政府肝入りのシェリル・ノーム来訪イベントに合わせて、反政府テロリストが攻撃をする情報を掴んだブレラは、現地工作員のグリニッジ・メリディアンと秘密裏に撃退作戦に出ます。

ブレラのことを「融通が利かない」「アンドロイド」というメリディアン(あえて性で呼びます。)は、シェリルの歌を「ヒューマニティの象徴」であり、人間として生まれたんだということを思い出させてくれると絶賛しています。

最初の敵はあっさりと片付けたものの、テロリストは最終兵器を軌道エレベーター内から侵入させていました。

それは、都市殲滅用特殊デストロイド「アナベラ・ラシオドーラ」でした。

このアナベラ・ラシオドーラは、マクロス本編では登場しません。プレイステーション用ゲームソフト「MACROSS VF-X2」に敵キャラとして登場する機体です。

小太刀右京さんの小説には結構「VF-X2」のネタが出てきますので、そちらも押さえておくとより楽しめます。

苦戦するブレラは、テストで指摘していたYF-27-3のタイムラグが生じ、絶対絶命の危機に瀕します。

ラストは、やるせないです。

インフィニティ

「マクロスF VISUAL COLLECTION シェリル・ノーム」初出。

シェリル・ノームは凍てついた廃墟と化した「サンフランシスコ」を歩いています。

ミハエル・ブランはもういなく、ランカ・リーも船団を離れていた。それどころか、短い学生生活で得たクラスメートも多く死んでいった。そして自分自身もすぐにそこに列せられることもシェリルはわかっていました。

そんなシェリルの横を通り過ぎる場違いな高級車。そこにはミランダ・メリンが乗っていました。崩れゆく船団から離れるために。

「逃げる」自分がそういえば、アルトはどうするだろうと考えるシェリルの耳にか細いが確かな旋律が聞こえてきた。

音の主はヴァイオリンを奏でる老人でした。防塵マスクをした人々は誰もが足を止めないが、シェリルだけはその曲を聴いていました。

老人は、かつて地球でボドル・ザーの攻撃を経験した者でした。廃墟となった地球で生活に追われ、ヴァイオリニスト志望であったことを忘れていた彼はバジュラの攻撃で思い直します。「明日死ぬかもしれないからこそ」「あの時打ち込めなかった音楽に打ち込もうと」

奇跡を信じる老人に、シェリルは同意し、老人の演奏にあわせて歌い出します。

後日、シェリルは、炊き出しの鍋をかき回すミランダの姿を見つけます。そしてミランダの決意を受け止めます。

ミランダの印象が変わる、いいエピソードです。この回はマクロスF好きには是非読んでみてほしい作品です。

カブキ・ウォーバード

「マクロスエース」Vol.003初出。

イサム・ダイソンと早乙女嵐蔵との出会いのお話です。

テストパイロットとして惑星エデンに向かうイサムは、途中訪れた惑星セフィーラ(!)でフォールド空間の乱れによって足止めをくらっていました。

目抜き通りを占拠し、スピーカーから大音量の軍歌を流す兵士クズレに対峙する美しい男を目にしたイサムは、助太刀に飛び込み男を連れて逃げ出します。

歌舞伎の再興をめざす嵐蔵は、その道に迷いを抱いていました。そんな嵐蔵を空へと連れ出すイサム。2人はVF-11Bで高度1万フィートの景色を眺め、嵐蔵は空の青さに改めて気付かされます。

そこに墜落してくる都市宇宙船と謎の無人機が現れます。降り注ぐレーザーとミサイルの雨を掻い潜りながらイサムは応戦します。

なんとか振り切ったイサムの姿を見た嵐蔵は、わだかまりを捨てて一歩を踏み出します。

己の芸に厳格な嵐蔵と破天荒なイサムが友人となる貴重なエピソードです。裏で進められる統合軍の動きも「マクロスプラス」に繋がるものとなっています。

グッド・フライデー

「ザ・スニーカー」2010年2月号初出。

風に飛ばされたランカのレポートを追って、プールに落ちた早乙女アルトは翌日熱を出して寝込んでしまいます。

熱に浮かされるアルトは、「いつもなら思い出さない記憶の深淵」へと落ちていきます。

それはアルトが幼かった時の父親とのやりとりでした。芸に厳しい父:嵐蔵に対しての本当の気持ちを思い出し眠りながら涙するアルトの元にはミシェルが来ていた(笑)

目を覚ましたアルトの前にはシェリル、ランカ、ルカ、ナナセがいました。そしてなぜか少しだけ照れているミシェルも・・・

温かいものを感じながらアルトは再び眠りに落ちます。

アクターズ・スカイ

「マクロスエース」Vol.004初出。

ある日S.M.Sに新人が入ることとなり、アルトは隊長のオズマ・リーから面倒を見るよう命令されます。

新人の名前は「アキラ神島」マクロス・フロンティア船団“年下彼氏にしたい男性俳優”2年連続トップ。映画「鳥の人」の主演男優です。

色めき立つマクロス・クウォーターの女性陣。

アルトは渋々ながらVF-19Fでアキラの指導を始めるも、同時にアキラの指使いに違和感を覚えます。

アステロイドを抜ける訓練中、アルトは救難信号をキャッチします。

契約にない状況に抗議するアキラを黙らせ遊覧船の救助に向かうアルトだったが、そこにバジュラが襲撃してきます。

アルトとミシェルの信頼関係を再確認できるお話です。

それよりも、ミシェルがS.M.Sの宴会で披露したというゾラ踊りが気になります(笑)

ミュートスノート・オルゴール

「ザ・スニーカー」2010年6月号初出。

ブレラ・スターンとバジュラ母星をめざすランカ・リーとアイ君。

フォールドの合間に偶然通りかかった氷と雪の惑星に不時着することとなります。

何かに誘われるランカ。そこで見つけたものとは。

ランカの優しさが感じられるショートストーリーです。

デンジャラス・ジャーニー

書き下ろし。

美星学園の修学旅行のお話です。前半は楽しい学園生活となっています。

泊まりがけの旅行と聞いて是が非でも参加したいシェリル。友達を作るため珍しくオズマから参加を促されたランカ。ランカがいるなら付いていくナナセ。オズマからの急なスケジュール変更で参加することになったアルト、ミシェル、ルカ。そしてなぜかやる気を出したクラン・クラン(笑)

楽しい旅行の始まりです。

目的地は温泉旅艦「熱海」。

早速温泉に向かうミシェルとルカだが、そこで見たものは・・・(この場面、この小説一の読みどころなので今回は飛ばします。)

ナナセにそっとアドバイスを送るグレイスやミシェルの着付けに我慢の限界を迎えたアルト。白い太ももを露わにしながら枕投げに興じるシェリル、ランカ、ナナセとアルト。

学校生活の楽しさが伝わってきます。

しかし、その裏でテロリストたちが動き始めた。

そして最後の大合唱。小太刀右京さん特有のラストに向けて畳み掛ける描写が存分に発揮されています。

次回は、外伝の2冊目「フロンティア・ダイアリーズ」をご紹介します。

それでは。

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