みなさん、こんにちは。
今回は、マクロスFの外伝小説のご紹介、第2弾です。
「マクロスF フロンティア・ダイアリーズ」は、2011年にスニーカー文庫から発売された小太刀右京さんの小説です。
「マクロスエース」「ザ・スニーカー」で掲載された小説に書き下ろしを加えた全6話から構成されています。
フロンティア・ダイアリーズ

バトルフィールド・エニウェア
「マクロスエース」Vol.005初出。
S.M.Sの任務によりある惑星に到着したミハエル・ブランとクラン・クランは、湿度92パーセントの茹だるような暑さの中を歩いています。
暑さでまともな思考ができないクランは、脱げば涼しくなると聞き、今にもシャツを脱ぎそうな勢い。傍目にはどう見ても犯罪者に見られてしまいそうな状況の中、ミシェルはアイスクリームを買うことで妥協点を見出そうとします。
急遽買い求めた麦わら帽子とサマーシャツ姿のチビクランの挿絵が可愛いです。
任務は、酷暑に加え流星が毎日堕ちてくる惑星でアンノウンに襲われたため、調査をするものだった。
新しく配備された先行量産型バルキリー、VF-25Gメサイアを駆り、クランのクァドラン・レアと共に調査に向かうミシェルだが、突然の攻撃に遭ってしまいます。
回避するミシェルだが、不具合により変形が出来ず、援護に入ったクァドランは大破。なんとかミサイルで撃退した敵は、巨大な龍のような生き物でした。
幼い時分のエピソードを語りながら着いた先に2人が目にしたものは、墜落した新統合軍の秘密実験施設の輸送船の側で子どもにエサを与える親龍です。
戦う道具として作られた生物に対して自分と重ねてしまうクランの行動は?
エボニー&アイボリー
「ザ・スニーカー」2010年10月号初出。
ボビー・マルゴと早乙女矢三郎によるハード・ボイルドものです。
知人の女性を殺されたボビーは、葬儀に同席していた矢三郎と犯人を追跡します。
あらゆるツテを動員して犯人を追い詰めるものの、人質を取られて宇宙へ逃げられてしまいます。
犯人捕縛を命じられた早乙女アルトとミシェルは、犯人の放ったゴーストと戦闘になります。動きのムダを省いたアルトの舞にマクロスクォーターの艦橋にいる矢三郎は感嘆を漏らします。
ギムレットには、少し早すぎるかもしれません。
楽園星天剣酔舞(らくえんぼしつるぎのえいぶ)
「マクロスエース」Vol.006初出。
イサムと嵐蔵のエピソード第2弾です。
今回イサムはYF-19のテストパイロットとしてヤン・ノイマンの叱責を毎回受けている時です。
そんなイサムのもとへ客が現れます。
その人は「早乙女美与」。嵐蔵の婚約者であり、後にアルトの母親となる女性です。あまりの美しさに危険すら感じるイサム。
未与の頼みは、「狂気を極める」と言い残し姿を消した嵐蔵を探して欲しいというものでした。
断りきれないイサムは、街に向かい軍人ばかりを狙う辻斬りの噂を聞きます。
ストリートへと走るイサムの先には血の泥濘の中に立つ嵐蔵がいた。
「ヒカル・イチジョーの弟子が聞いてあきれらあ!」と叫ぶイサムに、「貴様に一条大尉の何がわかるか!」と返すミラード・ジョンソンが可愛いですね。
イグザミネイション・パニック
「ザ・スニーカー」2010年12月号初出。
美星学園に通うシェリル・ノームが、ランカ・リーに尋ねます。
「期末試験、って何かしら?」
順位が張り出されると聞いて色めき立つシェリル。
「シェリル・ノームの名前がランキングに載るのよ。」と勝つ気満々のシェリルでした(笑)
そしてなぜかアルトの家に集まる面々。シェリル、ランカ、ナナセ、ルカにミシェル。
しかし、エアコンも付いていないアルトの部屋は暑すぎて、アルトは同じアパートに住んでいるダイアナ婆さんからアイスキャンデーを買ってきた。
一息つくと事件が起きた。ダイアナ婆さんの大切な自転車がひったくられた。すぐさま反応するアルト達。事件の行方は?
学生らしい雰囲気にほっこりするエピソードです。
ティア・ドロップ
書き下ろし。
状況が一変します。
ミシェルが死に、S.M.Sが船団を去り、ランカはブレラ・スターンとともにバジュラの星へ向かい、学友の多くが死んでしまいました。
新たに新統合軍へ配属となったアルトは鬼気迫る勢いでバジュラを撃墜し、訓練に明け暮れ、それは新たに配属された部下達にも厳しく思えるものでした。
そんな中、母親を亡くした部下の1人ミスミがバルキリーを持って逃げ出したのです。
脱走は死刑。必死に説得するアルトに対し応じないミスミ。そこにバジュラが現れます。
なんとかバジュラを撃退するも・・・
家に帰ったアルトは出迎えたシェリルに泣き崩れます。辛いエピソードです。
前作「フロンティア・メモリーズ」の「インフィニティ」に繋がる物語です。
ホット・プレート
「マクロスエース」Vol.007初出。
またまた状況が一変して面白系です。
美星学園の屋上で娘々(にゃんにゃん)特製まぐろ饅を頬張りながら食事の話をするシェリル。
オズマの不味くて愛情たっぷりのパインケーキを思い出すランカ。
美星学園の伝統行事であるチャリティーイベントに挑むことになった2人は、アルトのつぶやきから互いに焼きそば店で勝負をすることになります。
グレイスのインプラントを利用して一流のコックの動きをトレースし、日本風の焼きそばを作るシェリルと、下拵えに手間暇をかけクウォーター・ゼントランとしての手首の強さを利用した中国式炒麺(チャオメン)を作るランカの一騎討ちです。
激烈を極めた勝負の決着は、アルトに託された・・・が
「オレは、何か悪いことをしたのか?」
そう尋ねるアルトに、ミシェルはあきれ顔で答えるしかなかった。
アルトの優しさと不器用さが面白いエピソードです。
やはり、小説の面白さは、TV版や劇場版では描ききれないエピソードを盛り込んで、よりキャラクターの内面を知ることができることですね。
特に外伝系は、新たな関係性やエピソードが加えられて楽しいです。是非読んでみてください。
それでは。
